arai blog

振り返りや日々学んだ事を書きます。

UX SHIGA #02

 前回に引き続き成安造形大学で行われた公開講座UX SHIGA #02に参加したので、振り返りを書きます。

 #02はオブザベーション(観察法)。チームに分かれゼリーを食べる人の観察を行いました。

去年UX KYOTOではカップ焼きそば

nn-ari.hatenablog.com

で体験したことがあります。ワークショップの主な流れはこちらと同じです。

 

今回私は研究会のメンバーと共に「観察する人を観察する人」という第三者として、ワークショップ全体を観察させていただきました。

 

前回、チームを観察する目的の1つ

「成功するパターンを見つけること」

浅野先生に教えていただきました。

 

なので今回は会場をうろつきチーム全体を見て回り、各チームの変わった行動をチェックし、進捗具合と照らし合わせながら観察しました。

 

気づいたこと

 

個人で分担して進めるチームより、録画画面を共有してみんなで進めるチームの方が進めやすそう。

 

グループには大きく分けて2つの傾向があったように感じました。

・個人でグループ

・みんなでグループ

なので、まずはどちらの方がオブザベーションに適しているのかなと考えてみることにしました。

ワークの最中、実際の現場ではどのようにオブザベーションが行われているのか先生に伺いました。1人の人が録画を見て黙々と作業ステップと発話を書き込んでいくそうです。

実際の現場では1人でやるのか。それなら各個人で分担して進めてるチームがやりやすいのかもしれないな、と思いました。

一方みんなでチームは、観察後のオブザベーションシート作成時、盛り上がってはいるのですがついついモノ(パッケージ)の改善話に脱線しているように見えました。

 

でも実際ワークが進んでいくにつれ、個人チームにはなかなか手が進んでいない様子が伺えました。

話を聞いてみると、

「自分のメモしていた作業ステップと他の人がメモした発話の分量が合わなくて、まずそれをどうにかしなきゃと・・・」

今回録画用のiPadが各チーム1台配布されたのですが、このチームは個人でシート記入を行っているので、実際の現場では動画を見ながら書き込むところを、記憶をさかのぼりながら書いていました。

思い出せない部分を見ようとしてもiPadを順番に回し見なきゃで、なかなか大変そう。

その作業に追われたのか発見や気になった行動について書き込む欄はあまり埋まっていないようでした。

一方みんなでチームは、話はたまに脱線しつつも動画を見て確認し合いながらシートに記入、新しい発見も随時話し合って記入していました。

それによって、最初はスカスカだったオブザベーションシートに情報がぎっちり書き込まれていました。

私の予想は外れ。いくら実際の現場では1人で行う作業とはいえ、初めての手法はみんなで意見交換しながら進めていくのがいいのだと気がつきました。

また、個人チームはシートを仕上げる10分前に「動画見ながら検証しましょうか」という発言がありました。

私的には(他のチームは最初からそのやり方だったのに気づくの遅くて勿体無い・・・!)という気持ちに。

そして前回のマシュマロチャレンジの時先生が「他のチームも見て回っていい」と仰っていたことを思い出しました。

自分達のチームがよりやりやすく(発達)するために、他チーム(他者)からヒントをもらう。ワークショップの参加者は、同時に他チームの観察者でもあるといいのかなと感じました。

(もちろんこのチームが失敗とかそんなわけではありませんすみません!プレゼンの時は素晴らしい発表でしたし私が個人的に感じたことです!)

 

発話を制するチームは問題発見を制す

 

上位下位関係分析法の制作に入ると、各チーム問題を見つけるのに手こずっていたように感じました。

どうしてもモノの問題解決をしてしまったり、主観できっとこうだろうと決めてしまったり。でも確かにどうやってこれは問題だ!って判断すればいいんだろう。

この時あるチームの発言カードに目がいきました。

このチームはカードの色分けがきちんと統一してあり、更に発言のカードには吹き出しが書かれ、差別化してありました。しかも発言の量も多い。

元々先生がいい進め方をしていると仰っていたチームだったので、何か意図を感じるぞとジロジロ観察していました。

そんな私の横で、先生が研究会のメンバーに「問題として挙げる時、事象に関わった発言が無いとダメ。これが問題の原因になるから。」と話されているのを耳にしました。

なるほどこのチームはきっとそれが分かっているんだ!?

そこでチームの人にどのように問題を挙げているのかインタビューしたところ

 

1人のメンバーが「これが問題じゃない?」とカードを上に上げるけど、他のメンバーが発言カードを指しながら「この発言があるから」違うのでは」と指摘しまた下ろす感じでやっています。

 

とのこと。

チーム全員が発言カードを見ながら話し合うことで、自然とモノでなくヒトを見て、原因に基づいた問題を探していました。

このチームは作業の進め方も全体が見えるように進めていて、恐らく今作っているカード達がどのように繋がっていくのか想像しながら作業されていたのではと思いました。とりあえず作業ステップカードを作って、じゃあ次は事象を作って・・・と進めると、一つ一つの作業が繋がらず、今やっていることの意味を考えるタイミングも無くなるかもなと思いました。

これ、あれに似ていると感じました。

前回グラレコにチャレンジした時、目の前の情報の記録に必死で自分なりに考えることは全くできていなかった状態!

「手を動かすことが大事」とはよく言いますが、それは同時に頭も動かしてる前提の言葉なのだと知りました・・・!

実際今回の観察では全てを記録したわけではないですが、自分が気になったところはその場で考え人に聞いていたので、全部記録していなくても前回のグラレコより理解は100倍くらい深まりました。

それと私が参加者にインタビューするのって上位下位関係分析法で発話=原因であることと同じで、分からなかったらその場で聞いちゃうのが早いなって思いました。

 

 

 

 

そもそもなんで今回は観察者として参加したのか

 

「手法の前に態度を身につける」

 

今回は講座の前に情報デザイン研究会のメンバーと浅野先生とでお話する機会がありました。

先生には

「自分達できちんとした理解も深められていないのに『グラレコを振り返りに役立たせたい』とかは無理があるよ。」

とご指摘が。

 

はっきりしなくてモヤモヤしていた部分を言葉で指摘して頂いてハッとした。

 

前回のブログには「グラレコをする目的が曖昧だった」と書いたけれど、そもそも私達は目的が曖昧なんじゃなくて、目的がよく分からない。

それは私達に現状から何を感じて考えてだからこうしたい!という部分が無いから。

無いっていうか、多分やり方を知らない。だからすぐ取り組み始められる手法に頼ったんだろうなぁ。

 

そしてグラレコという手法を目的にすり替えてやってきたけど、ワークショップでそれがダメだということが分かって。

そもそも先人が作り上げてきたRTDやグラレコのフォーマットはそれに至るまでのプロセスに価値があったのに、それの真似事はただ模倣が上手なだけ〜・・・。

 

現状から何を見つけ考えたのか、まずはそれから。そうすれば、自然と自分達が何をしたいか(目的)が明確になるはず。

私達がすべきことを見つけたい!

 

でも、どうやって?

それはやはり、態度によって身につく。

前回の講義にもあったように、「これをすれば◯◯ができるようになる」なんてことは存在しない。それは単なるスキル学習で、それを踏まえ試行錯誤を繰り返し続ける態度を取り続けてこそ。

何で?と感じる力、どうにか知ろうとあの手この手を使ってみる力、よく見る力、よく聞く力、話す力、豊富な経験・・・。

 

つまり私達が今すべきことは、たくさん見て聞いていろんなことを考え気づく「態度」を身につけること。

という経緯があって、今回ひたすら観察者になったのでした。

 

先生のワークショップ中の言葉

「モノゴトは細かく分けて分解すると問題が分かる。大きくざっくり解釈すると見つけられなくなる。」

 

先生はゼリーの観察の時に仰ったけど、私達の事でもある。

まさに今はざっくりとしかモノゴトを捉えられない。前まではそれが普通だと思っていたし。

でも今回のワークショップ中、意識的に自分なりの仮説を立てたり人と話したり質問することで、なんとなく分かったつもりだったことの先にさらなる疑問が生まれて、発見もたくさんあって忙しかった。

今まで参加してきたワークショップの時とは違う、なんていうか、その場で情報が更新されてどんどん気になることが増えてくる新しい感覚になった。

オブザベーションをやるのも2回目だけど入ってくる情報がめちゃくちゃ増えた。

自分の態度一つでこうも変わるのかと驚いた・・・。

今回の態度を意識した観察で、少しだけモノゴトを分解して捉える感覚というのが身につきました。1人で講義聞いてるだけだとモノゴトの分解はできないなと思いました。

 

あと、話はちょっと変わりますが、観察者の私達が会場をウロウロしてたことで少しはいいことがあったんじゃないかな・・・!?と思った話を。

今回研究会メンバーの中には、

・観察者として

・参加者として

の2パターンの参加者がいました。

観察者と参加者、立場は違えど普段は同じ研究会のメンバーなので、観察者がウロウロしているのにつられて参加者も自然と他チームの偵察に行きインタビューしていたり、観察者と参加者が「先生からこんな話を聞いてきた」などリアルタイムで情報交換を行いチームにフィードバックするなどの状態が起きていました。

 第三者がチーム間をウロウロ喋って回ることで、みんなにも「ウロウロしていいんだ感」を生んでいた・・・?

正直ここまでいうのは言い過ぎおこがましいですね!

ただ、分からなかったら「こうですか?」と聞きに行く態度、今どうやって進めてますか?とインタビューする態度が全体にあったように感じたのです。

前回と比べてみんな積極的だった気がするし、私自身もたくさん人と話したし、

そもそもそういう会話が生まれるということ自体、一人一人の中に「なんで?知りたい!」という気持ちがあったことの表れだと私は感じました。受動的ではなく能動的な感じ。

それはウロウロのせいではないかもしれないけど、私はすごくいい雰囲気に感じました。

 

 

 

今回が発達のための態度を身につけるスタートラインだと思っています。

今少し掴んだこの感覚を忘れないように、常に意識し続ける。

シンキングマラソン、考え続けるから忘れない。

 

そのためにも次回はもっと早くブログ書くように心がけます。

先生、今回もありがとうございました。