リアルタイムドキュメンテーション学生ワークショップin九州産業大学
11/21~23の3日間、情報デザイン研究会の有志4名で福岡に行ってきました。今までで一番の遠出!
・11/21 リアルタイムドキュメンテーションWS in九州産業大学(常葉大学×九州産業大学)に混ぜてもらう
・11/22 UXフォーラムに参加する
のが目的です。
21日のWSは九州産業大学(以下九産大)経済学部の学生に、RTDの研究を行ってきた常葉大学の学生がレクチャーをし、翌日22日のUXフォーラムでRTDに一緒にチャレンジしよう!という企画です。
浅野先生からのお声掛けで、成安造形大学も観察者として混ぜて頂くことになったのです。
「何か技術や技法を学ぶのではなく。(学生同士の)はちゃめちゃな他流試合をしたい。目を開かせるのが目的ですね。」
という三大学の先生方の会話も教えていただきました。
時系列に書いていくとキリがないので3つに分けて書きます。
・九州産業大学の皆さんから学んだこと
・常葉大学の皆さんから学んだこと
・成安造形大学が考えたこと、したこと、WSを経て私が考えたこと
・九州産業大学の皆さんから学んだこと
実は、初めて取り組む九産大のみなさんとは熱量の差があるだろうと思っていました。
事前にスカイプで話せたのも一部の人達だけだし、聞いた話によると「先生に誘われたしとりあえず参加しよう」な人がほとんどだそうで、ゆる~っとした人達が集まるのかなと想像していました。 (学生にとってWSって気軽なイメージだし。)
でもこの勝手な想像は、実際はすごく失礼なものでした。
九産大の学生は想像の何倍も熱心で、物怖じしなくて、かなり圧倒されました。(WS以外でも)
私達は普段すぐ考え込んで手が止まりしぼんでいきがちです。
でも九産大はとりあえずやってみる!失敗してもとにかく進む。進みながら考える。
知ったかぶりするわけでもなく、だりぃ~って言うわけでもなく、「まあやってみようぜ!」というエネルギーがまっすぐですごかったのです。
RTDなんて初めて取り組むことなのに!
「振り返りしましょう」とアナウンスしていた成安造形大学が今更振り返りを書いてるのに対し、いの一番にブログ書いて、早速RTDを授業に取り入れて。Facebookを見ていても追いつけないくらいの勢いです。
この違い、男の子が多いからかな?と話していました。
良い意味で男子特有のノリがあって(女の子もいらっしゃいますが・・・!)、正直羨ましかった。
凄まじい瞬発力、見習いたいです。
一度一息入れちゃうと、再開するのが大変なんですよね。腰が重くなっていく。
だから九産大みたいに間髪入れずにやっちゃうのがいいんだと感じました。
普段も元気いっぱいなのかな。WS後の夜も、明け方まで課題について語っていたと聞きました。
私達に足りないのはもしかして体力・・・?
それと、RTDに2つの方向性が出来ていたのが面白かったです。
1. 見た目が綺麗にまとまっている(が結論は割とざっくりした印象を受ける)
パターンと、
2.見た目は結構まとまっていないっぽい(でも結論に解釈を深めようとした跡が見える、納得度高め)
パターンがありました。
ぱっと見1.の綺麗にまとまっている方がうまいRTDだ!と思いがちですがそんなことはなくて、どちらにも良さがあると思いました。
1.はもちろん後から見返しやすいという良さ。
2.には、作り手の解釈がより含まれているという良さ。
まとまりきらなかったのは、きっと構造化の前に「どういうことだ?」と考える時間が長く取られたからだと思います。
私はこれを素敵な傾向だと感じました。
綺麗に書こうとすると、アウトプットを先に決めて事象をそのフォーマットに収めていきがちです。
ですがそれは時に、こじつけに近くなる場合があると思います。(自分達がまさに経験した・・・)
本来の構造を歪めてしまうというか。これは美大生特有の陥る溝なのかもしれません。
レポートなど、文章で情報を扱う機会の多い学部の人(今回の九産大とか)は、いざポストイットになっても、それをモノのレイアウトとして見るのではなく情報の構成として見られるのだと思いました。
・常葉大学の皆さんから学んだこと
22日UXフォーラムでのRTDに対して、私はすごく「あって助かった!」という気持ちでした。
フォーラムは登壇者の方の持ち時間が長めなので、一つ一つの話題はなるほどと聞けていても、あれ、これらがどう繋がってるの?と全体が見えなくなってしまうことが多々ありました 。
そんな時にRTDを見に行くと、話題同士の関係性が作られ、話の大きい筋道が掴めました。(筋道を理解するのとしないのでは、腑に落ち具合がかなり違います。)
RTDを「確認」に活用していました。
自分が話に追いつけなくなった時、聞き逃した時に穴埋めをしてくれる。私はこう解釈したけど、あなたはどうだった?と聞きに行ける心強い存在。
「予測をしないというルール」
常葉広沢さんのブログにこんな言葉がありました。
私はこれを「(アウトプットを)予測しない」だと解釈しました。
まさに九産大に感じた進め方で、
「(アウトプットを)予測しない=まず自分の中で一度咀嚼して解釈するプロセスをしっかり取る」
ということなのかなと思います。
今後RTDにチャレンジする機会があれば、「予測しないというルール」は絶対念頭に置きたいです!
また、今回でやっとRTDの見方が分かった気がしています。
RTDを見さえすれば、話が分かる!というものではないのだとやっと気が付きました。
自分でもしっかり話を聞き、自分の解釈と比較させながら読まないと全然頭に入ってきませんでした。(少なくとも以前の私の見方では入ってこなかった。)
また、会場でフォーラム参加者を観察・インタビューしていてRTDについて気づいたことが2つあります。
1.参加者の人達も見方がよく分からないのでは?
写真は撮るけど、RTDを囲んで議論する様子はほとんど見受けられなかった。
「どうですか?」と聞くと「すごいですねー」と返ってくる。
(「どうやって見ていますか?」と質問してみたらよかったかな?)
私達は特に参加者の記録方法を観察していたのですが、
リクルートの坂田さんに「その記録がその後どのように活用されているのか、フォーラムの後も合わせてデータを取った方が良いよ」
とアドバイスを頂きました。
このお話がRTDにも当てはまると思います。
写真は撮るけど、みんなその後どうしてるの?
とある方は
「(話を聞いて)今の自分が感じることと一週間後の自分が感じることは違う。だから後でもう一度見て、話を追体験するために写真を撮っている。」
と仰っていました。
私はその場でしか活用しなかったけれど、後で活用しようとする人もいらっしゃる。
写真のその後をもっと調べて、その後の使われ方が具体的にオープンになれば、
写真撮って「すごいですねー」で終わりな人も、活用方法が分かってくるかもしれないと思いました。
2.RTDが役に立つのはその場にいた人達だけ?
私は参加者の解釈ありきで、それを補佐する役割がRTDだと思った。
だとしたら参加してない人が見ても断片的な情報しか入ってこないし見てもあんまり意味ない?
だから自分が参加していないフォーラムとかのRTD見ても、先ほどの方のように追体験はできないかもしれないという仮説。
RTDってその場にいた人専用なのかなーとぼんやり思いました。
・成安造形大学が考えたこと、したこと、WSを経て私が考えたこと
ちょっと話が前後してしまうのですが、WSの話に戻ります。
最初にお声掛け頂いてから色々考え、WSのテーマは
「記録(RTD)の技術を練習するのではなく、記録の目的を学生みんなで考える。」
ことだと解釈しました。しかもはちゃめちゃに。はちゃめちゃっていうのはみんなが前のめりな姿勢で考え語り合い、喧々諤々な様だと想像しました。
そして私達には、WSの観察を行いテーマとWSの進行を比較し、問いを立てる役割が求められているのだと考えました。
そこでまず考えたのが、記録の目的についてです。
目的とは・・・誰の?何のための?どんな時の?
一言では定義できず、時と場合によって多種多様な目的があると気がつきます。
今回参加する三大学にもそれぞれ目的があると考えました。
そして記録の目的を意識せずRTDを作った場合、技術の習得だけで終わり、これが何のためにどのように活用されるのか、という問いが立てられないままにWSが終わってしまうのではないか、と少し怖くなりました。
これは私達の実体験から想像したことです。
ざっくり言うと、常葉大学のように手法として確立させるまでの試行錯誤を体験していないので、記録の目的を考えるタイミングのないまま小手先の真似事になった。という経験をしたのです。
私達がグラフィックレコーディングから観察に辿り着くまでの経緯を書いた記事はこちらです。
なのでRTDを作る前にまずそれぞれの記録の目的を考える・共有することが必要ではないかと考えました。
九産大のみなさんは経済学部です。芸術系の学生とは記録に求めていることも微妙に違うだろうし、語り合えばきっと新しい視点が得られる!と思っていました。
情報交換とか発表、話し合いメインの「記録について考える場」ができれば最高!
このこと伝えたいな!
できれば企画の部分からみんなで考えればいいじゃない!?ということで三大学でスカイプ会議をしました。
当時の本音を言うと、常葉にはもうちょっと他大学を頼って欲しいし、九産大には企画の部分から関わって欲しいと思っていました。
他流試合というくらいなのだから、
常葉→九産大 ちょっと離れて成安。
にならず、
常葉⇄九産大⇄成安
のような構図で進めていきたいと考えていた。
でも、伝えたい余りに失礼なこととか言ってしまってちょっと成安暴走気味に。結局思いも全然伝えられず。
もやもやしたまま成安の大草先生とお話ししていると、あれ、自分達もしかして人のこと考えているつもりですごい押し付けがましいかも、と気がついた。
学生だけで企画を任され、責任感とプレッシャーの中一生懸命準備してくれている常葉に対して、余りにリスペクトがなさ過ぎた。
反省し、三大学話し合い後は静かにすることにしました・・・。
手法より翌日フォーラムの場でRTDに求められていることとか九産大のことを考えようよ!と伝えたかったはずなのに、その本人達が現実的でない理想を押し付けていた。反省。(その後ずっとすみません・・・となっていたけど福士さんの神対応に救われました笑)
でも恐らく、話し合いで良いこともありました!
三大学で話し合うことで、事例紹介は各大学それぞれ行おうと決まったり、翌日フォーラムでのRTDは、実はかなりハードル高いだとかを共有でき、WSへの心の準備ができたのではないでしょうか・・・?
「あれ?もしかしてこれ普通のWSみたいに話聞いてなんとなくやってみる、だけだとやばいんじゃね?」と思ってもらえるきっかけができたのではないでしょうか。どうでしょうか。
暴走してはしまったけど、話し合いによって意識は
常葉⇄九産大⇄成安
の構図に変化できたと思う。
そしてWS後
成安の唯一の役割だ!と勝手に思っていた
「記録の目的についてみんなで考えるきっかけ作り」
が実現できず、すごく恥ずかしい気持ちでした。
結局常葉と九産大の周りで騒いでいただけな気が。
私が自分に役立たず感を感じていたのは、
最終的にはWSが、成安が最初にイメージしていた構成に近寄った。けど、
その変化が、私達によってではなく、浅野先生の当日の指導によって起こったから。
私達が(話し合い中失礼なこともたくさん言ってしまったけど、それでも)なんとかしてみんなで考えたかった根本のテーマの部分、「記録の目的」について最後まで他大学にほとんどアピールできなかった。0ではないかもしれないけど。
それが先生の発した言葉だと、あっという間に理解してもらえていました。
実績とか説得力とか語彙力とか色々乏しすぎて。恥
この記事を書きながらメッセンジャーグループを見返していると、森田先生のこんな言葉が。
「成安造形大学の皆さんも加わって良い感じの混沌が生まれてきていますね」
混沌には確かになっていた(良くも悪くも)・・・という点では成功?
当日は何もできなかったけど、WS前の企画期間には、全てに対して「本当にそれでいいのか?」という視点で見る「10番目の男」の役割は果たしていた。と思う。
その後、浅野先生に成安の存在意義はなんだったのか確認させて頂きました。
「真剣に観察している目があるだけで場が引き締まる」
そっかあ~・・・そうなのかなあ・・・?
リフレクションシートも書いてもらったけれど、それを分析してアウトプットにするノウハウがないから、本当に観察しただけ、書いてもらうだけになってしまったけれど。
九産大の人達は「この人達、何しにここにいるの?」と思っただろうな。
まず、観察の目的すらもきちんと説明できなかったのはいけなかった。観察の意義、目的はもっと言語化するよう心掛けます。自分達のためにも。
浅野先生「外に出て何かをした時、その跳ね返りで自分達に何が足りないか気づく。」
まさにこれで、私達の観察がまだ結果としては全然形になっておらず、影響力のないものだと気がつきました。
関西に戻っても、何かしらの場に出て観察を練習し続けたいと思いました。学校に籠っちゃいけない。
それとUXフォーラムでの観察は、実は浅野先生のご厚意で急遽トライさせて頂いたのです。
参加者の皆さんの記録を観察し、そこから発見したことを最後に発表させて頂きました。
発表内容をまとめてくださったツイートがあったので、載せさせて頂きます。
初めて間もない私達に貴重な機会を与えてくださり、ありがとうございました。
最後に
WSもフォーラムももちろんなのですが、個人的にはそれ以外の時間もすごく貴重な体験でした!
九産大のみなさんにはほんっとうにたくさん面倒を見て頂いて、寮でのあれこれとか、門限ギリギリなのに私達のわがままに付き合って屋台の長浜ラーメンに連れて行ってくれたり、コンビニで当たったお菓子くれたり、感謝しきれません。
みんな喋りやすくて、ちょっと話すだけでもどんどん議論が盛り上がるし、すごく良い雰囲気を作ってくれていたと思いました。
半分寝ていたけど夜中に寮の談話室で語り合うのもワクワクした。
常葉のお2人には改めてそのスキルの高さを見せてもらい感動。頭で理解するのと実際にできるのとは天と地の差だと改めて実感しました。3日目は一緒に福岡観光も出来て、超良い思い出になりました!(広沢さんだけ先に帰らなきゃいけなかったのは残念・・・)太宰府天満宮に向かう長いバス時間の中で、普段できないようなお話をたくさんできたのがとても印象に残っています。
色んな土地にパワフルな学生がいると実際に分かると、いいな!私も頑張ろう!と思えます。
後輩達にはここでできた縁を大切にして欲しいな~と思います。
めちゃくちゃ長文になってしまい今数えたら6000字くらいありました。申し訳ありません。
それくらい濃厚な3日間でした。
関わってくださった、先生方、学生の皆さん、ありがとうございました。