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振り返りや日々学んだ事を書きます。

情報の構造化と視覚化「誰のためのドキュメンテーション?」in常葉大学

常葉大学の安武先生にお声掛けいただき、6/21(日)に静岡で開催された常葉大学未来デザイン研究会主催ワークショップに、成安造形大学からも4名参加させていただきました。

 

今回は新入部員の3年生がさっそく一緒に参加してくれることになったので、いつもよりテンション上がりぎみでした。

 ワークショップは午後からだったので、午前中はハンバーグレストラン「さわやか」へ。前から常葉の皆さんにオススメしてもらっていたので期待マックスです。

rocketnews24.com

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看板がイカす。

開店時間の11時に少し遅れて到着すると、もうすでに40分待ち!さわやかの人気恐るべし・・・

そして窓の隙間から店内を覗くと、恐らく一番乗りの浅野先生が一番さわやかをされていました。(11時10分前に来るのが大事だそうです!)

もちろん私達も40分待ってさわやかしました。

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・・・さわやかは最高!!

 

ここからは、ワークショップの振り返り。

 

情報の構造化と視覚化「誰のためのドキュメンテーション?」

講師は、はこだて未来大学の原田 泰先生です。

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まず最初にリアルタイムドキュメンテーションの構想と可能性について講義をしていただきました。

「リアルタイムドキュメンテーション」って常葉の皆さんがやっていた付箋に書いて貼っていくあの手法の名称なんだと思っていたけれど、本当はもっと大きな概念としての名称だと分かりました。

 

ドキュメンテーション (documentation) は、何かを実証するために、あるいはコミュニケーションのために、ある情報を文書(ドキュメント)で表すことである

ドキュメンテーション - Wikipedia

 

情報共有や全体の流れを掴むためにそれをリアルタイムで行うのが、リアルタイムドキュメンテーション

そして、メディアの数だけ色んな手法がある。ビデオの記録をその場で編集したり写真を印刷してイベントの最後に本にしちゃう手法とか・・・紙でのRTDしか知らなかったからとても新鮮に感じました。実際に体験したらすごく面白そうです。

 

RTDの位置づけについて理解したら、ワークに入っていきます。

W1:グラフィックレコーディングとグラフィックデザインの違いの発見

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 AB 2つの枠を作り、まずAの方に先生が順番におっしゃっていく図形を書いていきます。そして出来上がったAの画面の中にある図形を素材として、今度はBの画面に自由にレイアウトしていきます。

 

こうして出来上がった2つの画面には、同じ図形を使っているにも関わらず、大きな違いが発見できます。

 

Aの方はどんな図形がいくつ指示されるのか、何を目的としているのかが分からないまま書き進めていくので、自然とグリッドを作り出しそこに図形を当てはめるようなレイアウトになっています。

一方Bの方は自分が使っていい図形が全て分かっていて、レイアウトに「こんな雰囲気に仕上げたいな」という意図が生まれます。これにより自由で大胆な粗密を意識したレイアウトになります。

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この違いこそがグラフィックレコーディンググラフィックデザインの違いだそうです。

予測できない状態をまとめる力がグラフィックレコーディング。

あらかじめ用意されたもので意図を伝える力がグラフィックデザイン

「表現」って一括りだと気が付きにくいですが、この2つは目的が全然違いますね。

 

W2:ことばと絵を両方使うことの必要性/絵だけの時のデメリットの発見 

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 「わたし」「友達」「入る」「楽しい」などのことばを表す絵を、ポストイットにたくさん書き出します。

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そしてたくさん生まれた絵を壁に貼り出し、「わたし」などのことばを取っ払ってみます。 

するとことばが添えられていた時は「わたし」に見えていた絵が「人間」にも「服」にも見えてきます。

さらにさっき取り払ったことばを、今度はごちゃ混ぜにして貼添えていきます。

 

例えば「友達」を表現していたつもりのメガネの絵に「楽しい」のことばを添えると、だんだん「楽しい」の絵に見えてきたり・・・

これは(メガネが好きだから楽しいのかな・・・?メガネに楽しい思い出があるのかな・・・?)など、見る側がことばから想像を膨らませていくからです。 

 

このように、情報の視覚化だからといって絵ばかりに頼ってしまうと、正確に伝わらないということが分かります。

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ことばと絵を組み合わせた「図」で表現することが大切。

 

W3:文という表現が持っている構造の図式化

関係性を描く。

例文をどんどん図にしていきます。

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文章は情報と情報が繋がり合って成り立ち、その関係性には色々な種類がある。

 

関係性色々

・因果

・位置

・時

・並列

・縦列

・空間

・上下

・包含

・レイヤー

・次元

・主従…etc

 

とにかく手を動かして、いろんな人の図を見て関係性の種類・表現方法を発見していきます。

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そこで疑問に感じたのが、原田先生がおっしゃっていたイラストでもなく漫画でもない「図」としてのバランスってどんな感じ?ということ。

私は「隣の犬はうちの犬の2倍は体重がありそうだ」という例文に対しての

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こんな表現が図っぽいかなあと思いました。

比較という関係性を犬の数とシーソーで表現していて、犬の「体重」を比較していることがよく分かる。

漫画っぽく表現するのも豊かで分かりやすいけど、逆にいろんな意味で捉えられ過ぎちゃう。だからピクトグラムのような記号に近い表現をすることでシンプルに伝えることが大切なのかなあと思いました。

 

W4:論を図にする

最後は新聞の記事をグループ毎に1枚の図にしてみます。

文」から発展して「論」になるので、一番重要なポイントはどこか、どんな構造を持っているのか探っていきます。

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部活で少し新聞のビジュアライズをやってきたからか、ポイントを絞って要らない情報を省く作業は割と出来るようになってました。

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うまい〜!

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結局何が伝えたいの?というところに絞って各情報をレイアウトしていきます。

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私たちのチームはこんな感じ。記事の中の文章を細かく区切ってカード化した時に、その細切れのグルーピングにちょっと手間取った気がします。結局大分絞って、大筋を大切にまとめました。

芹沢さんという人物の存在と、戦争の経験〜本を通して伝わる彼の思いまでの流れをシンプルに構成。

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他に面白かったのが年表のようなタイムラインで表現しているところ。時間の流れが分かりやすい!

他にも私達はあまり深めなかった芹沢さんの思いの部分を細かく分析しているチームがあったり、正解がない感じが面白かったです。

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最後に「表現には2種類ある」というお話を図で紹介していただきました。

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思考操作のための表現は、それを通して自分が体験して理解を得るもの。

伝達のための表現は、理解している事を意図を持って伝えるためのもの。

これって

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これに似ています。

自分が理解するためのノートテイク的な記録を、グラフィックデザインの伝える力が支えて、みんなが使えるグラフィックレコーディングになっていくんですね。多分。

この2つの違いを理解しないままに、目的に合っていない表現方法でなんとかしようとしてきたこと、すごいあるなぁ・・・。

それがこの図やワークショップで理解できたということは、もうモヤモヤしないで済むし、やっぱり図解って素晴らしいなあと思います。

原田先生に教わることができたのも嬉しいし、常葉の皆さんと一緒に参加できたのがすごい嬉しかったです。ありがとうございました。

いい機会をいただけて、すごく恵まれているなー。